10月1日に「局所性ジストニアの手術(定位脳手術)」を受けました。
8日に退院して、術後は順調に回復しています。
【局所性ジストニアとは】
参考:Wikipedia
参考:東京女子医科大学HP
2年ほど前からギターを弾く際、左手に違和感を感じるようになりました。
最初は自分の弾き方が悪いのだと思い、フォームの改善を試みながら弾き続けていました。
去年の夏あたりから症状がもう誤魔化せないくらいになり、初心者でも出来るようなことすらも正しい運指とフォームで弾くことが出来なくなりました。
これはもう自分のせいではないのかもしれないと思い、いろいろ調べたところ「局所性ジストニア」であるという結論にたどり着きました。
楽器奏者やスポーツ選手、漫画家、美容師など同じ動きを繰り返す専門職の方がなりやすいそうです。
私はそれまで「ジストニア」という病気があることも、それで苦しむ人たちがいることも知りませんでした。
「ジストニア」のことを調べると神経疾患だということがわかりました。
ジストニアは人によって症状が違い明確な原因はわかっておらず確実に治せる薬や治療法はまだないこと、
確実に治る保証がある訳ではありませんが、有効とされている治療法として脳の外科手術があることなども知りました。
一部では、スポーツ選手などに言われるイップスのように精神的なものからくると書かれている記事もありました。
ちょうど去年の夏というのは症状もひどくて、自分のこの状況の理由がわからず誰にも話せないで悩んでいたことと、一部のファンの方の嫌がらせや行き過ぎた行動により精神的なダメージを受けてたこともあり、確かに精神的なものが原因かもしれないと思っていました。
ですが、実際には「ジストニア」は精神的なものは関係ないみたいです。後にお医者さんにお話をいただきました。
当時はとにかくストレスが大きかったので、お客さんたちとも距離を置くようにしていましたし、表に出る活動は減らしていきました。イベントの時は必ずスタッフの方についてもらうようにしました。忙しい中、地方にも毎回ついてきてくれた大野さん本当にありがとうございました。
去年の秋頃、仕事が落ち着いたところで病院に行きました。ジストニアは神経疾患なので脳科です。でもCTやMRIで調べても異常が出るものではありません。
異変に気付けるのは自分だけです。
最初に行った病院ではジストニアの治療はできず、セカンドオピニオンを受けました。その間、鍼治療にも通ったり色々試しましたが大きな効果はありませんでした。
次に行った病院は国立精神・神経医療研究センターでした。そこで出会った坂本崇先生は私を問診してすぐに外科手術することを勧めてくださいました。
手術のことは調べていたので、内容はなんとなく把握していました。
何度も言いますが、ジストニアの手術は脳の手術です。当たり前だけどリスクが大きいし怖かったです。
家族を含め、簡単には決断できませんでした。
先生や家族と話し合い、しばらくは薬を飲んで治療しました。
最初の薬が合わなくて、次に処方してもらったのがアーテンという薬でした。パーキンソン病の方などが飲む薬だそうです。これを服用すると少し指が軽くなった感じがあったので、その後は数ヶ月その薬を飲んで活動していました。
ただ、この薬も副作用が強くて(のどが渇く、過度な緊張感で落ち着かない、集中力の散漫等)、ライブ前はいつも不安でいっぱいでした。
でも飲まないとギターが弾けませんでした。
一体いつまでこんなことが続くのかって。
それでも活動を止める勇気はありませんでした。
ただでさえ、活動を減らして離れて行った人がたくさんいました。
一度止まったらもう戻ってこれなくなるんじゃないかって怖かったです。
この頃には少数の関係者には少しずつジストニアのことを打ち明けていました。
不安だったけれど、ほとんどの方たちがこんな私を受け入れてステージに立つことを許してくれました。
それでも薬で治療を続けることに限界を感じるようになりました。
今年4月の外来で、坂本先生に改めて手術することを勧められました。
そこで、東京女子医科大学病院の平孝臣先生を紹介していただきました。
平先生は私もお名前をネットやテレビなどで拝見したことがあるくらい有名なジストニアの手術の名医の方です。
4月に紹介してもらって、平先生のところに初めて行けたのは7月でした。
その時にはもう自分の中では腹をくくっていました。
平先生はちょび髭が似合っていて、オシャレでダンディーな先生です。
問診をしてすぐに手術の話になりました。もう他の選択肢はなかったです。
付き添った母はやっぱり不安を訴えてはいたけれどその心配を拭うようにお話をしてくださいました。
少しでも早く手術を受けたかったので、先生が週一で外来と手術を行ってる埼玉の三愛病院で手術を受けることになりました。
手術できると決まったことがとにかく嬉しかったです。
おかしいでしょ?頭蓋骨に穴を開けるのが決まったのに怖いじゃなくて喜んでるの。笑
私が手術を決めたこと「えりかちゃんは強いね、すごいね」ってみんな言ってくれたけれど、私が手術することを決断できたのは決して自分が強いからではなくて、ここまで気を遣いながら一緒に音楽を続けることを許してくれた仲間がずっと離れないでそばにいてくれて、帰る場所を作って待っていてくれたからです。
最後に背中を押してくれたのは間違いなく周りにいてくれた仲間でした。
10月1日。手術を受けました。
手術のことはまた改めてゆっくり書かせてください。
写真だけ。
手術前。↓↓
頭を固定するための器具をつけたとこ。
恐怖と痛みでひと泣きしたあとです。笑
手術後。↓↓
頭の傷口を塞ぐためのホチキスがついてます。
ジストニア手術は局所麻酔なので意識があるなかでしたが、手術中は泣いてません。笑
手術は無事に終わりました。
10月8日に退院しました。
外に出て、みた景色が違って見えました。
長い間閉じ込められていた箱から飛び出した気分でした。
何度も書きますが、脳の手術はリスクがあります。
簡単には決断できません。
それでも薬を飲み、副作用のストレスを感じながら仕事をずっと続けることは困難だと感じました。
このまま音楽をやめることも本気で考えました。
だけど、悪いことばかりではなくて。ジストニアになって、家族や友達、仲間がいることの心強さ、支えてくれる人たちへの感謝の気持ち、ギター以外のことを考える時間、新しい出会い、毎日毎日がむしゃらにギターと生きてきた10年間で見れなかったことがたくさんあったと気づくことができました。
色んなことに興味を持った。
すごく大切なことをたくさん学ぶことができたと思います。
この2年間、支えてくれた家族や友達、変わらずに接してくれた仲間、しぶとくずっと応援し続けてくれてるみんな、SNSで見ず知らずの私からのDMに真剣に向き合ってくれたジストニア経験者のミュージシャンの方々、忙しい中実際に時間を作って同じ手術の経験をお話してくださったサイキックラバーのIMAJOさん、そのご縁を繋いでくれた関係者の方、そして手術へとつないでくれた先生たち、手術をしてくれた平先生、手術中ずっと手を握っててくれた看護師さん
関わってくれたすべての方へ感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。
私はまたこれでギターを続けられます。
ジストニアは練習すればするほど、大好きなギターを弾けば弾くほど弾けなくなっていく絶望を感じる病気です。
今は練習すればするほど出来ることが増えていく希望を感じてます。
とても幸せです。嬉しいです。楽しいです。
ジストニアのことも、ジストニアの手術のこともまだまだ知名度が低いです。
たくさんの人に知ってもらいたいと思います。
これからまたゆっくり1つずつ整理して伝えていこうと思っています。
手術のこともまた詳しく書きます。
いつかこの経験が同じように苦しむ誰かの心に届き、1人でも救うことができれば良いな。
長くなりましたが、読んでくれてありがとうございました。
今回事後報告にさせてもらったのは、私の性格上の問題です。
お許しください。
それではみなさん、またライブハウスで会いましょう!!ヾ(๑╹◡╹)ノ”
ERIKA
ERIKA公式サイト
https://erika-guitar.com/